映画としての見せ方は悪くない(むしろ面白い展開も沢山ある)が、イルカ漁の問題点(?)を巧妙に暈しているのは明らかだった。
いちばんの問題が「基準を大幅に超えた水銀が検出された」「イルカ肉をクジラ肉と偽装して販売している」と言いながら、その検証は殆どしていない。
その上で感情に訴えかけるように、いかに「イルカが賢い」か、「イルカには自己認識能力がある」か、ということを執拗に繰り返す。
では、賢くなくて自己認識がなければ殺してもいいのか? という疑問には何も答えていない。
それでも、この映画の舞台が日本であり、日本の食文化を扱っていることを考えると、日本人として観ておくべき映画だと思う。
これがもし「日本」でない場所での話だったら?
これがもし「イルカ」でない動物の話だったら?
そういう想像力を持てない人がこの映画を観たら、そのまま制作者の意図通りにミスリードされること間違いないかもしれない。
日本人だからこそ、冷静に、客観的に鑑賞すべし。
ところで、この「ザ・コーヴ」が公開される時にも、冒頭にはあの『NO MORE 映画泥棒』が流れるんだろうか?
あれって「盗撮はいけない」というメッセージなんだよね!
そうか、だから日本での公開では盗撮したところにボカシを入れているのか!