一言で表すならば、《観ておくべきかもしれないが、微妙な作品》だ。
素直に心が動かされたのは、
「極限状態の中で、励ましあう男たちの素晴らしさ」だったり
「ニュース映像ではわからなかった、ビル内での《音》の恐怖」だったり…。
モニタの向こう側で起こっていたあの事件が、紛れもない《現実》であったことを再認識するためには、この映画が与えるインパクトは必要だと思うし、そういう意味では《観るべき映画》のひとつであるかもしれない。
でも、『ユナイテッド93』が僕に与えた衝撃には、到底かなわなかった。
そして、どうしても納得がいかなかった点が二つ。
ひとつは、
「決死の覚悟で現場に飛び込んでいった二人の警官は、誰も助けることはできなかった」
ということ。
もちろん、これを責めるつもりなんて毛頭ないし、彼らが(現実に)生還したことは心から良かったと思う。
その勇気を尊敬せずにはいられないのは紛れもないこと。
ただ、
「何も知らずに死んでいった人達」
「自らを犠牲にしながら、他人の命を助けることができた人達」
の存在が、結局ないがしろにされてはいないだろうか?
そしてもうひとつ、これはネタバレになるのであまり詳しくは言わないけど、エンディング近くのある登場人物については、やはり日本人として突っ込んでおきたい…。
「結局お前はイラクに行ったのかよ(怒)!」
実は、この二点について大きな疑問を持ったのは僕だけかもしれない…と、しばらく思っていた。
その後、やはり試写を観た某DJさんと話をしていたら、やはり全く同じポイントがひっかかった、と聞いて、ちょっと安心したのだった。
五年前に命を落とした、数多くの人達に祈りを捧げつつ。
五年前にあの事実に立ち向かった、数多くの人達に敬意を表しつつ…。