膨大なアウトプットの日々の中で、これだけはインプットしておこうと思っていた映画だったので、仕事の隙間で、無理やり試写へ。
1940年代、内戦下のスペイン。父親を亡くした少女オフェリアは、ある日、「妖精」に導かれるまま、地底の「迷宮」に辿り着く。彼女を待っていたのは、迷宮の守護神「パン」。「パン」は、オフェリアに、「あなたこそが、この地底の王国のプリンセスだ」と告げる。そして、オフェリアが王国に戻るためには、「3つの試練を乗り越えなくてはならない」と…。
アカデミー賞で3部門を受賞していたにもかかわらず、ずっと日本での公開が決まっていなかったこの作品は、「おとぎ話」と呼ぶにはあまりにも残酷で、あまりにも悲しい。
ただ、目の前に繰り広げられる幻想世界は、グロテスクでありながら、本当に美しくて、一時も目が離せない。不気味な異界の住人たちは、醜くて、そしてどこか愛らしい。
大人になったら決して体験できない、この不思議な快楽に、じっくり、身を委ねてみるべし。
それにしても、日本版の宣伝用のメイン写真、これだけはどうしても納得できない。
雨が降りしきり、寒さや痛み、そして「死」の恐怖に満ちた、現実の世界。
そんな時代を生きる少女の目の前に突然現れた「迷宮の世界」は、少女の「生」と「性」に対する「恐怖」のメタファーとして描かれていることは言うまでもない。
それなのに、なんで、あの写真なの…?
いつも思うことだけれど、映画を観ていない人のための宣伝だからこそ、実際に映画を観ているとき、そして、観たあとのことをもっと考えるべきだ。
PAN'S LABYRINTH パンズ・ラビリンス(日本公式サイト)
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